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引用:ルックバック単行本
小学校卒業日に出会い、中学生時代と高校生時代のほとんどを共に過ごしてきた藤野と京本。
中学2年生時にふたりの合作である「メタルパレード」が初の読み切りで集英社の準入選となり、その後も5年間で読み切り作品を合計7つも書き上げた「藤野キョウ」。この名前はもちろんふたりの苗字を使ったペンネームです。
ふたりは高校を卒業したら連載をするよう担当者に持ちかけられます。それを聞いて純粋に喜ぶ藤野は、下を向きなにやら考え込む京本の様子を察していました。その帰り道で京本は美術大学に行きたいから連載は手伝えない、と藤野に伝えます。
藤野はまさか京本が自らの意思で、自分の元から離れると言うなど想像していなかったでしょう。今まで彼女をリードし世界を広げてあげた自負があったから。ただその反面で、京本の卓越した画力を利用していた自覚も少なからずあるように見受けられます。
京本は純粋に、今よりも絵が上手くなりたいだけ。ふたりの別れは唐突に訪れました。
ふたりの今
描くしかない日々
高校を卒業して離れ離れになったふたり。藤野は街で一人暮らしをはじめ、大きな窓のおそらく高級なマンションでひとり孤独に漫画を描く日々に没頭していました。
今時ですね。昔の雑踏とした一室でアシスタント4〜5人と紙に向き合う姿ではなく、ひとりで大きなPCモニターに絵を描くスタイル。そして椅子ではなくバランスボール。
本棚に溜まっていく自身の連載作品「シャークキック」。11巻がたくさんあるのはこの時にアニメ化が決まったからでしょうか。ずっとずっと、何かに取り憑かれたように絵を描くことに没頭する藤野。
BGM代わりに流している真横のTVモニターから聞こえてきた音声に、信じられないという顔をしながら驚きの目を向ける藤野。
事件は突然に
山形市の美術大学で起きた事件がTVニュースで流れています。そこは、京本が一大決心をして絵を上達させるために通っている大学でした。
けが人などの情報はまだわかっていないとのこと。しかし、学生らが切りつけられたと言うセリフに動揺しTVに釘付けになる藤野。
すぐさま京本に電話をかけますが、京本は電話に出ません。そしてそのタイミングで藤野にかかってきた母からの電話。
藤野はこの時にほとんどは、起こっていることを想像していたのではないでしょうか。
京本の死
藤野は母からの電話を受けて、昔を思い出します。それは雪の中、連載することになった時のことを話すふたりの情景。
もし連載することになったらすっごい超作画でやりたいと話す藤野。京本は「描くのが遅いから、もっと早く描けたらいいんだけど・・・」と藤野に言います。
京本にとって藤野の漫画は先生と言えるほどの作品で、一番の大ファン。藤野の漫画についていけるようにもっと絵がウマくなる、と藤野に言います。自身より京本の方が圧倒的に絵がうまいと分かっている藤野だが、いつもそんな京本を微笑ましく茶化しながら京本の画力の向上を促します。
そんな京本が突然すぎる死を迎えました。藤野はアニメ化までかこつけた「シャークキック」を休載し、京本の部屋の扉の前に居ます。
私のせいだ
京本の部屋の扉の前で佇む藤野。部屋の前に積まれている自身の漫画が連載されている週刊誌を手に取りページをめくります。
そこからハラリと落ちる4コマ漫画。それは、小学校卒業式の日に京本を部屋から出すきっかけにもなった藤野が書いた漫画でした。それを見て、「私のせいだ・・・」と藤野。
藤野が死んだのは自分のせいだ、と膝から崩れ落ちる藤野。
「描いても何も役に立たないのに・・・」
あの時描いた4コマ漫画をビリビリと破る藤野。
その切れ端があの時のように扉の底の隙間から部屋に入ります。
その先には、、、、なんとあの時の、部屋に引きこもっていた小学生の京本が居ました。
突然部屋に入ってきた紙に「わっ・・」驚く小学生時代最後の京本。あの時に入ってきた紙は完成された4コマ漫画でしたが、今回は4コマの初めの一コマだけです。
まとめ
さすが、タツキ先生の漫画はストーリー展開の構成とテンポが相変わらずズバ抜けています。
あっという間に漫画家と成り、ひとりで黙々と漫画を描いている藤野。すでにコミックスは11巻まで伸びています。おそらく最低でも2年は高校卒業から時間が経っているでしょう。そして、あまりにも突然にニュースから流れる悲報。咄嗟に悪い予感とそれが現実となるシーン。
京本の慰霊写真はとても良い顔をしていて切なさが倍増します。おそらく母からすぐに電話がかかってきたことから、ふたりの親同士も繋がりがあったのでしょう。この慰霊の写真は藤野が撮った京本の笑顔だと私は思っています。
そして、ここからの展開がタツキ先生のセンスが爆発するところ。4コマ漫画の切れ端が部屋の隙間から入り込んだところから時空を超えてパラレルワールドに入ります。
これは藤野の想像なのか、はたまたもうひとつの世界なのか。物語は完結へと向かいます。
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