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鯉釣りのきっかけ!みなさんの師匠は誰?

釣り

あの日、心の師・陳さんと出会えたことで私は鯉釣りにハマった。
今回はその時の馴れ初めを書いてあるのみの誰得でもない内容である。

初鯉

ゴキブリ克服

いつもの日課で仕事終わりに自宅近くの河原でチューハイを片手に佇んでいた私の目に、ひとりの釣り人が目に入った。彼は真っ暗闇の中、懐中電灯の明かりのみで河原に流れていく生活用水が溜まる水路の隅で延べ竿を垂れていた。仕事がうまくいかず、500ミリのチューハイも2本目に入っており気が大きくなっていた私はその釣り人に近寄り、「見てもイイッスか?」と声をかけた。

彼はなんとなく曖昧に頷き了承っぽい仕草をしたが声は聞き取れなかった。私は正直ちょっと怖かったのだが言い出した手前引き下がることもできず、ちょっと大げさに間隔をあけて側に座り、釣りを眺めることにした。そこで私は異様な光景を目にすることになる。驚くことに、彼が餌としている練り餌の周りに大量のゴ○ブリがたかっていたのだ。

私はかなりのゴキ嫌いだ。子供の時のトラウマがある。実家の冷蔵庫の底をなにか棒のようなもので引っ掻き回していたらソレの死骸が出てきた。それを母親に得意げに見せると「ギャアアアア!」と大騒ぎなアクションののち手を洗いなさいだの消毒しなさいだの・・・その発狂したかのような母の反応を見たその時から、ゴキは私にとってとんでもなく恐ろしい生物ということになってしまったのだ。

釣り人の足元を見て「これは無理」、と咄嗟に思ったがそこから即座に離れようとしない自分がいた。彼はゴキのことなどまったくもって気にする様子がない。なにひとつなんとも思ってないその態度が私の恐怖心を中和し、今までにない経験がこの場で得れる!と直感で思ったのである。実際に釣り人である陳さんから得れた収穫は大きい。私はこの機を境に、何十年もトラウマだと思っていたゴキのことがさほど気にならなくなったのである。

凄腕の陳さん

さてこの釣り人こそが私の鯉釣り人生に火をつけてくれた中国人の陳さんである。陳さんは延べ竿でフナを狙っていた。実はここは現役を引退したおじいさん達が昼間は延べ竿をよく出しているスポットではあるのだがこんな夜更けにじいさんは居ない。陳さんはどう見てもじいさんではなかったが、釣り人特有の「世捨て人感」がにじみ出ており、サラリーマンの鏡であった私は否応なく好奇心を駆り立てられた。

しばらく間隔をおいた隣に座り、ゴキのことを気持ち悪いなと思いながらもその所作を観察していたのだが、その洗練された動きに感情が動かされた。パチンコ玉ほどのサイズに練り餌を瞬時に指先で丸め、針にスッと通す。そして竿先をしならせて何度やってもまったく同じポイントにウキ棒を投げ入れる。繊細な細いウキはツンツンと上下に動き、餌が何者かに突つかれている様子が見て取れる。しばらくするとウキ棒は動きを止めて沈黙するのだが、すかさず陳さんは先ほどの作業を繰り返す。

それを数回繰り返していると、ウキ棒がスーーッと水中に入った!とうとう良いサイズのフナが水面に浮上しタモ網に入る。20〜30センチほどのフナはタモ網から謎の網に移されて、再度先ほどの動作を延々とリプレイする。

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私は息を飲み、その無駄がなく洗練された動きに見惚れていた。ただ、まだ陳さんの足元にある練り餌のボールに近寄ろうとする無数のゴキにはこちらに来ないかどうかを警戒していた。私は声をかけてみることにした。「ここにはよく来るんですか?」。彼は「最近」、と一言だけを返してきたのが印象に残っている。「魚は食べるんですか?」と今思うと不躾な質問をしたが、その問いには笑いながら手の平でイヤイヤイヤというゼスチャーをしてくれた。この時に初めて私は彼が日本人ではないと認識した。

何度となくフナを釣り上げる陳さん。その度に私が「オ〜!」「すごい!」「天才」と相槌を打つので彼も多少は気持ち良くなっていたのでしょう。釣り上げるたびにフナを私によく見せてくれるようになってきました。そんなことを繰り返すうちに、その時は突然訪れます。

延べ竿に鯉がかかる

「おうっふ」と陳さんが変な声をあげました。何事かと暗闇の中よく見ると、竿が今まで見たことないぐらいにとんでもなく曲がっているではありませんか。根掛かりしたのか〜と普通に見ていたのですが、なにやら陳さんがわちゃわちゃと喋っています。それがよく見ると手でこちらに対して「来い!来い!」となっていたので近づくと、なんとどデカイ鯉がチラリと水面下に見えました。暗闇の中、とんでもないことが起きた、と直感で思った私は手の平を大きく開いてなにかをしなければいけない、と一心でした。

初めは鯉とは想像がつかず、とにかくとんでもないなにかが針にかかった!としか思えませんでした。陳さんは見ず知らずの私に声を少し荒げて指示をしてきます。が、何を言ってるのかまるで分かりません。しかし、目線やそぶりで「ああ。タモだな!」と思い、陳さんのタモを手に取りそばでスタンバイしました。陳さんはそれを見るや目を一瞬大きく見開き丸い目で私を見ていましたが、すぐに状況を理解しそのタモ目掛けて鯉を誘導し始めます。

今だからこそ分かりますが、あのサイズの鯉を延べ竿で釣り上げるなど正気の沙汰ではありません。実際はハサミを取ってくれ!と陳さんは言っていたのかもしれません。それが、タモを手に取り「やるぜ!」と謎に意気揚々な知らない日本人が隣にいて、陳さんもスイッチが入ったのかもしれません。そこから何十分経ったでしょうか。タモの近くまで鯉を誘導するも、なかなか中に入れることができません。そもそも、タモのサイズを相手は優に上回っているのです。少なくともタモの直径の2〜3倍のサイズ差がありました。

タモの近くに鯉を近づけることができると陳さんは「オーワーチャ!オーワチャー!」と大きな声で私を鼓舞します。私もそれに答えたいのですが、なにせタモに入らない。このままでは糸が切れるか竿が折れてしまう。。と思った私は、次のタイミングでタモに頭だけ入った鯉をほとんど抱きかかえるかのように腕全体で抱え上げて上の芝生にドデーン!と抜き上げることに成功しました。

言葉を超えたタバコ

陳さんが私にガッツポーズ。そしてハイタッチ。「イエーイ!!」と真夜中に歓喜の声。端から見るとまさしく異様な光景であり、いったいなにをしとるんですかという情景だったとは思いますが私たちにとっては勝利の瞬間でした。その時の写真がこちら。

初対面でこの距離の近さ。満面の笑み。やりきった時の顔つき。
ゴキのことなどまったく意識に入らなくなっていました。居たということはずっと分かっていたはずですが、そんなことは死ぬほどどうでもいいことになっていたのです。今や、ゴキなど怖くもなんともありません。(突然出てきたらびっくりはするけど)

このデカさ。まだまだこのサイズは序の口です。しかし延べ竿でこのサイズの鯉を取り込むことは今となっても凄すぎる釣り師のテクニックと竿のスペックです。

このあと、言葉はほとんど通わせることができませんでしたが数時間ふたりで話し合い、陳さんお手製の仕掛けと中国産のタバコを頂きました。私は自分のタバコをすべて差し上げて、次に会う約束をしましたがそれ以来陳さんと再会することはありませんでした。

私はフナ釣りを会得し今でも鯉釣りを続けています。出会いから10年が経とうとしています。陳さん、初めて表に出しますがあの時はありがとうございました。次は私が陳さんのような存在になれたらと思っています。

過去画像

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